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◆昇華熱転写とは?

■昇華とは・・・?
液体から気体になる現象を気化と言います。ドライアイスの様に、固体から直接気体に
なる現象を昇華と言います。染料インクの中の混ざった分散昇華成分は熱を加えられる
事でこの昇華現象が発生します。この昇華された気体が分子結合する事で、染色させる
方法を昇華型熱転写と呼んでおります。
■昇華インクとは・・・?
正しくは分散昇華型染料インクと言います。染料インクをベースに昇華染色剤と分散安定
剤を混ぜ合わせ作られております。文字通り昇華染色剤は、熱を加える事でポリエステル
樹脂等の高分子に分子結合し染色するという特性を持っております。この特性を利用して
様々なポリエステル樹脂やレジンコート材に熱転写(熱染色)させるよう開発されたインクを
所謂、昇華インク(分散昇華型染料インク)と呼んでおります。
■熱転写とは・・・?
文字通り熱を利用して転写する事を言います。プリント原稿や版下原稿等のアートワーク
を、熱を使い被写体に写し返す事で製品にプリントをさせる事を熱転写と言います。
その熱転写の中にもアートワークを何で被写体に固着(定着)させるかによって、所謂糊付
けの転写と染色する転写といった2つの形態の熱転写方法があります。
■糊付け転写と染色転写の違いは・・・?
糊付け転写は一般的に市販されている糊付きシートにプリント出力して糊の成分で転写
固着させます。インクは市販の顔料をそのまま利用出来るため便利ですが糊成分も一緒
に転写されるため表面はごわつき、物理的な定着も強固とは言えず剥離等に弱い転写で
あると言えます。その点、昇華インク熱転写システムは昇華インクの分散昇華成分が熱
によって昇華染色される事で転写されるシステム(所謂染色転写)ですので、表面には
何も残らない美しい仕上がりとなります。また表面に何も残らないということは、剥離
等の心配も無用でこれらが大きな特徴としての違いとなります。
■昇華熱転写の種類は・・・?
昇華型の熱転写システムには大きく分けて、リボンプリンターを利用するタイプとレー
ザープリンターを利用するタイプ、そしてインクジェットプリンターを利用する3つの
タイプがあります。これらはすべて分散昇華成分と融合させる事で、昇華リボン、昇華
トナー、昇華インクとなり各々の昇華型の熱転写システムとなります。
■インクジェット昇華熱転写の特徴は・・・?
昇華リボンを利用したリボンプリンターはビデオプリンターに代表されるようにリボン
のコストが高くアートワークを出力するメデイアも専用で高価になります。昇華トナー
を使ったレーザープリンターも専用トナーのコストは高く、なによりカラーレーザープ
リンターの機種が特定されるためシステム全体が高価になります。また転写物にはトナ
ー残存がある事とトナー粒子でのプリントは荒くアートワークの表現に制約がでると言
えます。その点、昇華インクを使ったインクジェットプリンターは、低価格の卓上プリ
ンターでも高精細のプリント表現が可能なため、低コストできれいな仕上がりの転写が
可能となります。転写後の残存成分もほとんど無い為、クオリティーの高い製品を作り
出す事が可能となるのです。
■どんなプリンターが利用できますか・・・?
ピエゾヘッドを採用しているインクジェットプリンターであれば昇華インクをプリントする事が
出来ます。国内ではEPSON社やMIMAKI社・ROLAND社・MUTOH社等がピエゾ式ヘッドを
搭載しております。機種についてはカートリッジの形状が多種類あるため「インク互換表」
ご覧いただき昇華インクカートリッジがある機種をお選び下さい。


CANON社はプリントヘッドにバブルジェット方式を採用しているため、その構造から昇華インク
への利用には向いておりません。
■転写素材の種類は・・・?
金属(アルミ・ステンレス・スチール)フィルム(ホワイト・クリア・反射・ブラックスルー)布材
マイクロファイバー・ポリエステル布(エプロン・Tシャツ・ジャンパー・バッグ・帽子など)
セラミック(タイル・マグカップ・湯のみ等)ガラス、FRプラスチック、ウッドボード(MDF)
等々既製材料を色々な形でご提供致しております。

●その他にも、お客様の素材にプレコート(*)を施すことも可能です。

(*)プレコート
:昇華インクで熱転写ができるよう、素材にポリエステル樹脂コーティングを施す事を指します。

注:プレコートには、180℃での焼入れが必要になる為、耐熱製品にしか出来ません。
■転写紙の種類は?
転写用紙は、市販されている一般インクジェット用紙でも転写用に使用する事は可能です。
ただ転写製品を作るにあたりよりきれいに(濃く)転写されるよう転写効率の高いものをお求め
下さい。また(※1)タッキングやコックリングなどの症状が少ない事もきれいな転写をする為に
重要なポイントとなります。弊社では用途に応じた高効率の転写用インクジェット用紙を提供
いたしておりますので、下記の用途に合わせたご利用をいただく事をお勧め致します。
  ●布転写用インクジェット用紙(布用:Fタイプ)
   用紙のコート層(インク吸収層)、吸収ポリマーの働きが少なくインクを用紙の表面で受け
   留め、インクの染込みが少ない分転写効率が高い。反面インクの乾きが悪くプリント後の
   取り扱いに注意が必要です。プリント後は良く乾かしてから転写する事をお勧めします。
   インクが乾いても 吸収ポリマーのインク吸収が少ない事で、転写の際に(※2)ビーディ
   ングが発生しやすい点があります。その点を注意すれば布地以外の転写にも使えますが、
   ビーディングの影響が少ない布地用として使用します。
  ●一般転写用インクジェット用紙(一般用:Nタイプ)
   用紙のコート層(インク吸収層)、吸収ポリマーの働きを良くする事で速乾性が高くプリント後
   の取り扱いも安易です。吸収ポリマーのインク吸収力を高める事は相反して転写効率が悪く
   する事になります。その点で両方の特性の中間の用紙を一般用として採用しております。
   布用よりインク吸収力が高い分、ビーディングの心配がなくフィルム/セラミック/メタル/
   MDF/FRP等、幅広く使用していただけます。ただ、市販のインクジェット用紙より転写効率
   は良いのですがインク吸収力が押えてある分アートワークによっては(※3)ブリーディングが
   発生する場合もあります。その際はソフトやドライバー等でインクの吐出量をセーブします。
   ※1 タッキング/コックリング : プリント用紙面が波打つこと。
   ※2 ビーディング : インク滴が部分的に寄り集まる事により発生する画像ムラ。
   ※3 ブリーディング : 異なる色間でのインクの滲み。
■熱転写機材(ヒートプレス)ついては・・・?
転写する機材(ヒートプレス)大きさや用途(転写素材)にあわせて各種用意しております。
機種の詳細転写機材を参照しお選び下さい。

■パソコン(PC)・ソフトウエアについては・・・?
パーソナルコンピューター及びアプリケーションソフトに制約はありません。
今お使いのパソコン・ソフトをそのままお使いいただけます。

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